<東都大学野球:中大4-2駒大>◇第7週初日◇17日◇神宮

 東都大学野球で活躍する中大の鍵谷陽平投手(4年=北海)が17日、秋季リーグ最終カードとなる駒大戦(神宮)で今季2勝目を挙げた。2番手で登板すると、4イニングを4安打1失点。最速150キロをマークするなど、力勝負に出て駒大打線を牛耳った。9月27日にはプロ志望届を提出済み。学生最後の神宮で有終の美を飾り、ドラフト指名を待つつもりだ。

 2-2の同点で迎えた8回に「北海対決」が実現した。マウンドには鍵谷、打席にはかつてのチームメート、駒大・小林勇登外野手(4年=北海)が立った。その初球。打球は鍵谷を襲うように中前に転がった。鍵谷は「できれば抑えたかったんですが。力んでしまいました」と、してやられた一打を振り返った。

 それでも無失点で抑え、打線が2点を奪った10回には自ら志願して登板し、逃げ切った。「久しぶりのリリーフだったんで、力が入りました。明日も試合はあるんで、出る投手は少ない方がいいと思って」と4回を投げきった。

 7回1死ではこの日最速の150キロをマークし、連続三振を奪った。今季の過去4試合は、すべて初戦の先発を任されてきた。好投しながら打線の援護がなく、1勝2敗。それでもリーグ3位の防御率0・97が内容の良さを証明している。

 今日18日の2回戦で、公式戦はすべて終了。出番がなければ、この日のマウンドが最後になる可能性もある。4年間の通算成績は、この日の2勝目を加えて9勝11敗。「優勝できなかったのは悔しいですが、人間的に成長できた。我慢することも覚えたし、いい大学生活になったと思います」と話す。入学以来、常にお手本としてきた先輩の沢村(現巨人)とは今も連絡を取り合うなど、交流が続いている。

 プロ志望届を提出済みで、卒業後も先輩の後を追う。「まだ力はないが(沢村を)追っかけてきて少しは近づけたかな、と思っています。真っすぐのコントロール、威力、緩急をつけた投球で抑えたいです」と控えめながら抱負も口にした。ドラフト会議は25日だ。「まだ(プロに)行けるわけじゃない。でも行けるように準備したい」。北海道を離れて急成長した右腕は、慌てず騒がず、自分の名前が呼ばれるのを待つ。【米谷輝昭】

 ◆鍵谷陽平(かぎや・ようへい)1990年(平2)9月23日、北海道・七飯町生まれ。七飯小1年から野球を始める。七飯中時代は軟式野球部に所属し、遊撃手兼投手。北海高では1年夏に背番号13でベンチ入りし、2年秋からエースに。3年夏に甲子園出場を果たし、1回戦で東邦(愛知)に敗れた。遠投100メートル、50メートル6秒3、背筋力260キロ。家族は両親、姉、兄。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。