“浅尾2世”を離さない!

 中日が、28日に行われるドラフト会議の上位指名候補として、大分工・田中太一投手(3年)をリストアップしていることが9日、分かった。全国的にはほぼ無名の選手だが、150キロ近い直球と「太一カーブ」と呼ばれる変化球が最大の特徴。スカウト陣は高校球界屈指の右腕を極めて高く評価をしており、上位での獲得を目指すことになりそうだ。

 隠れた逸材が九州にいた。その名前は田中太一。今夏の甲子園に出場したが、初戦で延岡学園(宮崎)に敗れ“全国区”になることはなかった無名選手。だが、中日スカウト陣の評価は急上昇していた。中田宗男スカウト部長は「ひじや肩の使い方は抜群。指にかかった直球は球が浮き上がってくるように伸びる。個人的にはどうしてもほしいピッチャー」と絶賛。その評価はドラフトを直前に控えても変わらなかった。

 最大の特徴は手元でグイグイ伸びる球質だ。ややスリークオーター気味のフォームから投げ込む直球は最速149キロ。そこに、自らの名前を冠した「太一カーブ」と呼ばれる縦変化の高速カーブを織り交ぜて三振を積み上げる。今夏の大分県大会初戦、別府羽室台戦で1試合自己最多の17奪三振を記録。決勝では強豪・明豊を破り、5試合32回を投げ33三振を奪ってチームを甲子園に導いた。

 その姿は竜のイケメン右腕と重なる。九州地区を担当する渡辺麿史スカウトは「九州では間違いなくNO・1の投手。素材的としては文句ない。状態が良ければすぐにでも150キロは出ると思う。腕の位置だとか球質なんかはうちの浅尾と似ているんじゃないかな」。同じタイプの投手として今季、59ホールドポイント、47ホールドと日本新記録をマークした浅尾の名前を挙げた。

 12球団屈指の「投手王国」を維持する。中日が今季4年ぶりのリーグ優勝を決めた原動力は、チーム防御率3・29の“投手力”であることは間違いない。中日は09年に1位岡田、2位小川、08年には2位伊藤を指名。ここ数年は潜在能力の高い投手を上位指名することで投手力の底上げを図ってきた。今回もその姿勢は変わりそうにない。中日が“浅尾2世”獲得に全力を注ぐ。