胴上げ投手に立候補します!

 阪神ドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)は6日、優勝決定戦での登板に意欲を見せた。アマ時代は日本一と無縁だが「阪神は勝てるチームだと思うので、自分が日本一に貢献したい」と宣言した。プロへ導いてくれた真弓明信監督(57)を高々と宙に舞わせる。

 無数のフラッシュを浴びても、マウンドのごとく動じなかった。最年長ルーキーの榎田は落ち着いた口調で、思い描いたサクセスストーリーを口にした。

 「まずはキャンプでケガをしないこと。うまくいけば、開幕で先発ローテに入れると思う。新人王を取って優勝して、真弓監督を胴上げしたい」

 チーム全員で喜びを分かち合う、至福の瞬間を導きたい。その中心に立っていたい。アマチュア時代は優勝と無縁だ。小林西高では甲子園出場なし。東京ガス時代も全国大会はベスト8止まりだった。

 日の丸を背負っても一番にはなれなかった。11月に行われた広州アジア大会で中国戦2試合に登板し7回無失点。パーフェクトな働きをしても、チームは準決勝敗退。手にしたのは銅メダルだった。

 1度だけ、優勝を争う局面で登板した。大学4年の秋、九産大と明治神宮大会出場をかけた一戦。2点リードの無死一塁からマウンドに上がった。だが、無死満塁とピンチを広げ、次打者に中前打を浴びる。勝負あり、と思われたが、昨季のドラフト3位甲斐が本塁で二走を刺し、全国への切符をつかんだ。

 「あのときは、なんとか抑えた感じでした」。自分の力で勝ったという実感がわかなかった。「阪神は勝てるチーム」。プロの舞台で得た日本一への挑戦権に胸を高ぶらせた。

 1年後の雌雄を決する大一番。信頼を勝ち取った背番号「13」が、胴上げする真弓監督の到着を待ち受ける。