<運命の日を待つ(中):高校生編>◆小野郁投手(西日本短大付)

 すっかり髪の毛が伸びた西日本短大付・小野が、ワクワク感を抑えきれないように色紙に大きく「夢」と書いた。「ずっと小さいころからプロ野球選手になるのが目標でしたから」。イケメン右腕は子どものような笑顔を見せた。

 最速153キロの投手として、また高校通算25発の打者として注目を集めている。地元のソフトバンクはもちろん12球団から調査書が届いている。ロッテ、楽天など数球団は1位指名の可能性もある。

 今季日本ハム大谷が11勝&10本塁打と二刀流で成功。小野は「大谷さんはすごい。両立してみたい気持ちもあるが、投手として勝負したい。体を作ればもっと球速も伸びると思う」と、プロでは投手として挑戦する決意を示した。

 今夏は福岡大会直前の6月に学校内の階段で転倒し、着地したはずみで左手首を骨折。「終わった…」とどん底にたたき落とされたが、左手にボルトを入れ、投手専任。準々決勝で九州国際大付に敗退も、プロ注目の古沢相手に自己最速を更新する153キロを投げ込んだ。

 大舞台になるほど力を発揮する。西村慎太郎監督(43)は同校OBの新庄剛志氏に似ていると話す。「ここぞという場面で何かをやってくれるところが似てます。新庄よりしっかりしてますけどね」。176センチと小柄な体に無限の可能性を秘める新庄2世が、もうすぐ誕生する。【石橋隆雄】

 ◆小野郁(おの・ふみや)1996年(平8)10月23日、福岡・久留米市生まれ。南薫小2年から南薫エンゼルスで軟式野球を始める。櫛原中では硬式の久留米中央ボーイズ。西日本短大付では1年夏からベンチ入り。同秋からエース。球種は直球、縦のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、カットボール。遠投100メートル、50メートル走6秒2。右投げ右打ち。176センチ、70キロ。