日本ハムからドラフト5位指名された室蘭シャークス・瀬川隼郎投手(28=北海)が「投手大谷」への弟子入りを志願した。11日、室蘭市内の新日鉄住金室蘭製鉄所で契約金3500万円、年俸840万円(金額は推定)で仮契約を結んだ。社会人10年目でプロ入りの夢をかなえたオールドルーキー左腕は、8歳年下の先輩から快速球の極意を学び、来年の開幕1軍を目指す。

 11月11日午前11時、新日鉄住金室蘭製鉄所の「11応接室」で仮契約が行われた。かつて日本ハムの11番を背負ったダルビッシュと同学年の瀬川が現在の11番、大谷への師事を誓った。左腕と右腕の違いはあるが「(大谷に)学ぶことしかないと思います。キャンプで中田選手と対戦するのも楽しみですね」と、来年2月を心待ちした。

 仮契約した事務所には結婚2年目の妻泰葉さん(31)と、もうすぐ初めての誕生日を迎える壮介くんと一緒に訪れた。そんな妻子持ちの瀬川が社会人生活を始めた時、大谷は小学4年生だった。それでもプロでは先輩。そして最速162キロと、自身の148キロを大きく上回る。最近は大谷が肩の可動域を広くするトレーニングをしている様子をテレビで見て練習に取り入れた。「自分はまだまだ伸びると思うので」。どんなに年が離れた選手からも貪欲に学ぶつもりだ。

 11月初旬に受けたメディカルチェックでは、担当した医師に「肩の可動域が(今年の新入団選手の中で)一番広い」とほめられた。今季の日本ハムのドラフト指名は、1位の早大・有原と瀬川を除いた7人が高校生。10歳年下の選手たちよりも、しなやかな筋肉を持つことが分かった。白井スカウトは「いくら投げても故障しないし、終盤でも力のあるボールが投げられる。すぐに(1軍登板の)チャンスは来るはず」と期待を寄せた。

 45歳でメジャー300勝を達成、159キロの速球を誇った伝説の左腕・ランディ・ジョンソン氏(51)に憧れる。3年ほど前に、同氏と同じスリークオーター気味のフォームに変えてから制球が安定、球速も140キロ台後半まで伸びた。白井スカウトは「腕の角度とか…、(ランディ・ジョンソン)みたいだよね。息の長い選手になってほしい」と話す。「来季の目標は開幕1軍。(0歳の)壮介と一緒に野球ができるまで投げ続けたい」。大谷から学び、身につけた技術を息子に託すまで、オールドルーキーの挑戦は続く。【中島洋尚】

 ◆瀬川隼郎(せがわ・はやお)1986年(昭61)10月21日、札幌市生まれ。札幌もみじ台中時代は札幌白石シニアに所属。北海では2年秋に全道4強入りも甲子園出場経験はなし。05年室蘭シャークス入り。都市対抗は補強も含め4度、日本選手権にも2度出場。家族は妻と1男。177センチ、84キロ。左投げ左打ち。