<WBC壮行試合:オーストラリア3-10日本>◇24日◇京セラドーム大阪

 「ベテラン侍」が浩二ジャパンをよみがえらせた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の松井稼頭央内野手(37)、内川聖一外野手(30)の2、3番コンビが24日、壮行試合オーストラリア戦で大暴れ。つながりを欠いた打線を大幅に組み替えると、見事ズバリ!!

 松井が逆転打を放つなど2安打4打点、内川は3安打3打点と、13安打10得点を呼び込んだ。打てない、つながらないのモヤモヤ感を一気に吹き飛ばした。

 松井の意地と経験がにじみ出た。内寄り低めのスライダーを踏ん張ってすくい、右翼線ギリギリいっぱいに運んだ。逆転された直後、1点を追う4回2死満塁。右腕サールが立て続けに内角低めのスライダー3球を投じた。1ボール1ストライクから空振り。2ボール2ストライクからはバットにかすめてファウル。そして最後はうまくミートした。「非常に緊張しました。持ち味は積極性なので、積極的にいきました」とチーム唯一のメジャー経験者は振り返った。走者一掃の逆転3点三塁打を決め、三塁ベース上では控えめに右手のひらをあげた。

 前日23日、打線は7回まで1安打に抑え込まれた。8回に途中出場した相川が逆転3ランを放ったとはいえ、11残塁の拙攻続きでつながりの悪さは明らかだった。ゼロ行進の最中に山本監督は打線のテコ入れを決断。結果が出ない長野、坂本の配置を変更。「1番長野、3番坂本、5番内川」を「1番坂本、3番内川、5番長野」に組み替えた。相手先発が左投手ということもあり、鳥谷に代えてスイッチヒッター松井を起用。この新打線が見事にハマった。

 1回は1番坂本が四球。2番松井が犠打を決め、3番内川が中前適時打を放った。内川は「ハヤトが出て、カズオさんが送って。1発で結果を、と思った」と言い切った。山本監督も「皆さんも心配されていたと思うけど、私も心配していた。今日は非常につながりがあった」と手ごたえを隠さなかった。

 国際舞台の独特な雰囲気を経験した2人だから、代表チームを引っ張れる。03年アテネ五輪予選メンバーだった松井は「緊張感はハンパじゃなかった。鬼の緊張感だった。君が代を聞いてるときから、緊張が高まったね。1番バッターだったから、1打席目が一番緊張した。(震えとかは)なかったけどね。そしたら、デッドボールが当たって、ヨッシャーと思ったよね」。09年WBCで連覇に貢献した内川は、6試合18打数6安打、1本塁打4打点と活躍。苦境に立たされた時、2人の経験が役立つ。

 「あまり調子に乗らないように、おとなしくしてようと思います」と、松井は冗談めかして笑った。理想的な展開で快勝したこの日の打線が、侍ジャパンのベースとなりそうだ。2番松井、3番内川。本番でも頼れるコンビに違いない。【佐井陽介】

 ◆松井と内川の過去の日本代表歴

 松井は03年11月のアテネ五輪予選(アジア選手権)に1番遊撃で3試合にフル出場。3打点を挙げた。04年は大リーグのメッツに移籍し、アテネ五輪には出場できなかった。また、アストロズに所属していた09年第2回WBCには出場を希望していたが、08年12月に発表された代表候補から漏れた。内川は第2回WBCで代表入り。2次ラウンドの1、2位決定戦(韓国戦)では同点弾。決勝の韓国戦では左翼での好守&好送球、バットでは延長10回に決勝のホームを踏むなど3安打2得点。攻守に活躍し、優勝に大きく貢献した。