侍ジャパン小久保裕紀監督(45)が、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)世界一奪還に向け大きな手を打った。重要な初戦のキューバ戦に、先発が確実視されていた楽天則本昂大投手(26)を充てず、リリーフとして温存することが10日、分かった。菅野と並ぶ日本の大黒柱をジョーカーとして待機させ、剣が峰となるプレーオフ、2次ラウンド初戦の先発を確保する。キューバ戦はロッテ石川歩投手(28)ソフトバンク武田翔太投手(23)のいずれかを抜てきする。

 小久保監督が大きな決断をした。10日は楽天がキャンプを張る沖縄・久米島を訪問。則本について「本人には登板予定日を伝えました。先発もそうですけど、中継ぎでも力が発揮できるピッチャーだと思っています。球の力と投げっぷり、気持ちの強さは非常に高く評価しています。彼が一番、力を発揮できるところはどこか、ということで決めました」と話した。大谷の不出場を受け、初戦のキューバ戦先発が確実視されていたが、ジョーカーとしてフル回転させる。

 いい投手からつぎ込む短期決戦の定石を崩し、二枚腰の戦略を選んだ。キューバ相手にリリーフとして待機させ、万が一の事態に備える。登板となった場合は中4日の制限がかかる50球以内を意識し、試合の行方を託す。そうすれば、初戦の先に待ち受けるあらゆる事態に対応できる。

 3月11日に行われる2、3位を決めるプレーオフに回ってしまった場合は、中3日で先発する。1位突破の場合はもちろん、2次ラウンドの初戦となる12日の試合に先発できる。ボールへの順応。三振を奪える球威とフォークボール。闘争心にタフさ。国際試合で能力を出せる資質を備えている則本だからこそ可能な起用法だ。

 キューバ戦の先発は石川、武田の状態を見極めて最終決定する。WBC球にアジャストした石川は、極めて順調な調整を踏んでいる。ポーカーフェースで、コメントと裏腹の強い精神力は開幕戦のスターターにふさわしい。大谷の追加招集となった武田も急ピッチで調整を進めており、大役を任されても問題ない。日本が誇るタフマン・則本を懐刀に忍ばせ、世界の猛者をなぎ倒す。