WBC日本代表を応援する虎党には、複雑な光景が繰り広げられたかもしれない。31日広島との開幕戦(マツダスタジアム)で3年連続4度目の開幕投手が内定している阪神メッセンジャーが、侍打線を寄せつけない好投。3回35球を投げ、1安打無失点で悠々とマウンドを2番手岩貞に譲った。

 メッセンジャー 右打者への真っすぐで結構、シュート回転があったのが残念。でもあとは投げたいところに投げられたので全体的には良かった。自分の球を信じて投げたらどんな好打者でも抑えられる自信がある。それができたので引き続き、頑張っていきたい。

 立ち上がり、侍ジャパン唯一の大リーガー・青木を145キロ真っすぐで右飛に切ると波に乗った。簡単に三者凡退。2回2死から山田にはこの日唯一の左前打を浴びた。しかし二盗を企てた山田を捕手梅野とのコンビで刺した。3回も軽く三者凡退に取って危なげのないマウンド。課題にしている「脱力投法」にも手応えを感じた様子だ。

 メッセンジャー リラックスして投げるのはずっと取り組んでいきたいこと。セットに入ったときにリラックスして素早く投げられれば、今日のようにいいクイックで投げられるし、チームにとってもプラスになると思う。取り組んでいきたいね。

 13年も日本代表との強化試合に先発して3回を0封。“侍キラー”の本領を存分に発揮した。この日の登板はもちろん開幕へのスケジュールに沿ったものだ。これから中6日の登板間隔で投げ、31日開幕戦、昨季セ・リーグ覇者との対戦へ向かう。来日8年目を迎える右腕が順調に滑り出した。【編集委員・高原寿夫】

 ◆13年2月26日 阪神VS日本代表(京セラドーム大阪)両軍無得点の5回裏、阪神は1死二塁とチャンスをつかみ、伊藤隼が中前適時打を放って先制した。守っては開幕候補筆頭のメッセンジャーが3回を2安打と万全の出来。さらに白仁田-川崎-伊藤和が2イニングずつを無失点でつなぎ、完封勝ちを収めた。日本代表は5回2死から13人連続で凡退と反撃の機会すら作れなかった。