侍ジャパンの藤浪晋太郎投手(22)が、世界一監督からメジャーで通用する素材と太鼓判を押された。カブス戦に先発し4回4安打4四球、3失点と荒れた。「ボールが滑って…」。3回は41球を要するなど制球に苦しみ、リズムも悪かった。決勝ラウンド登板をかけたアピールは失敗したが、得たものは大きかった。

 「一番は楽しかったです。練習試合でそんなにプレッシャーもかかってなかったですし。良い経験、勉強をさせてもらった。今後に生かせればと思う」

 感覚をつかんだ4回は8球で3者凡退。最速98マイル(約158キロ)で5三振を奪った。この力投にカ軍のホイヤーGMは「グレートアームだ」と高く評価。マドン監督には「どの投手もメジャーでやれるが、先発投手は98マイルだからね」と言わしめた。藤浪も「指にかかってゾーンに収まればそう簡単に打たれない。ストライク先行で投げられるかどうか」と手応えを口にした。

 夢の対決もあった。「1番遊撃」で出場した川崎といきなり対戦。面識はなかったが打席で目が合い「来い、晋太郎」と言われたという。1安打1四球で2盗塁とかき回されたが「こっちでやられている日本人の方と対戦することはない。すごくうれしかった」と目を輝かせた。

 将来の侍ジャパンを担う存在としても期待は大きい。権藤投手コーチは「良い経験にしてくれれば。素材がいいから呼んでいるわけだから」とうなずいた。WBC後は、阪神のエースとしてフル回転が求められる。世界一軍団相手に積んだ貴重な経験をしっかり、生かしたい。【池本泰尚】