総合格闘技の世界最高峰UFCの日本大会(ファイトナイトジャパン)が27日、さいたまスーパーアリーナに1万人以上の観衆を集め開催された。全試合終了後に会見したジョー・カー国際戦略部門バイスプレジデントは「前回と同じくらいの観客数を午前9時からの試合で集めることができた。日本はアジアの中で、大きなマーケットであることに変わりはない。来年もしっかりと計画を立てて戻ってきたい」と満足そうに話していた。

 その横で、メーンの試合を終えたばかりのジョシュ・バーネットが「今回はとても成功した大会になった」と胸を張った。ロイ・ネルソンとのヘビー級対決は、巨体同士の対戦にもかかわらず5回判定にもつれ込んだ。強烈な右のパンチをオーバースロー気味に振り回すネルソンのパワーを、バーネットはクリンチや接近戦で見事に防いで見せた。首を抱え込み、体を密着させては、鋭いひざ蹴りを放つ。1発勝負の打撃戦もヘビー級の魅力だが、巨体の2人の消耗戦も面白かった。

 バーネットは、日本のアニメが大好きで、来日の際は、秋葉原や中野ブロードウェイに必ず通うという。今回も入場曲に「北斗の拳」のテーマ曲が流れると、会場は大歓声に包まれた。プロレスと総合格闘家の二足のわらじを履き、公式会見では「ボクのルーツはプロレス。プロレスの代表としてリングに立つ」と公言。判定でネルソンに勝った後には「プロレスなめんなよ!」と日本語で絶叫した。

 単に勝敗だけを考えて戦うのではなく、バーネットは、日米のプロレスファン、総合格闘技ファンを意識し、両方の競技を盛り上げようと考えて動いている。その言動から、格闘技を通じて日米の架け橋の役割を果たしているようにも見える。プロレス代表といいながら、UFCでは緻密な戦略で、総合格闘技の面白さを示し、メーンで大会を締めた。次は、どのステージで戦うのか? UFCか、プロレスか? 日米、どこのリングに上がっても、バーネットの試合には注目していきたい。【バトル担当=桝田朗】