昨年目立ったのが計量問題だった。世界戦で粟生の相手ベルトランが体重超過。粟生は勝てば王座獲得できたがKO負け。その後に薬物使用で無効試合になった。クイリン、ウォータース、カバジェロといった名のある選手も失敗。国内でも世界ランカーの日本王者村中が4月に王座剥奪と6カ月のサスペンド処分後、10月も超過で中止と2度まで犯した。

 問題が頻発する中、年明けにワタナベジムの渡辺会長が世界王者トリオのパフォーマンスを披露した。内山、田口は大みそかの防衛から2週間後の始動日だった。河野を含めて一通りインタビューを終えた後、3人に体重を量らせた。

 大みそかコンビは祝勝会続きの真っ最中だった。本人達には前夜に知らせたそうだが、内山は「食事後だった」。苦笑いもリミットから3・8キロ、河野は4キロ、田口は4・6キロのオーバーに止めていた。渡辺会長は「私生活は知らないし、ほったらかし。3人とも自己管理がしっかりしている」と胸を張った。

 ジムは75年に栃木・今市でスタート。五反田に進出して練習生を増やしたが、内山はジム6人目の世界挑戦だった。花咲徳栄高でグローブをつけたが、プロデビューは拓大、社会人時代を経て05年。遅れてきたホープも今やボクサー歴20年を超える。ずっと自炊だが、野菜中心の鍋を食べ、特製野菜ジュースを飲み、パンも作る。食にこだわって体調管理してきた。

 初の王者誕生の勢いで河野、田口と続いた。田口は同じ頃入門し、一緒に寮住まいしたこともある。先輩を手本に野菜ジュースを飲み始めていた。王座獲得後に体重がリミットから約8キロ増で初防衛に苦労し、今回も風邪をこじらせた。唯一20歳代の若さか。

 練習スケジュールは内山が体調を見極めながら自ら決める。トレーナーの大半は内山の年下。アドバイザーと言った方がいいかもしれない。実質ジムを率いているのは今や内山とも言えるだろう。そんな思いをまた強くさせる計量パフォーマンスだった。【河合香】