2年8カ月ぶりに帰ってきた大相撲の夏巡業開催中に日刊スポーツでは、来場者100人に今巡業に関するアンケートを行った。間近で見られる迫力のある稽古や取組、相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」や相撲甚句といった巡業ならではの催しに高評価が寄せられ、9割を超える人たちが「良い」「大変良い」と答えた。

アンケートは11日の古河巡業と14日の春日部巡業で実施。<1>巡業に来るのは何度目か<2>好きな力士とその理由<3>今巡業の満足度(「大変良い」「良い」「どちらでもない」「やや悪い」「悪い」)とその理由<4>今巡業の改善点は、以上4点について尋ねた。「大変良い」と答えた人たちの中には、「初めてだったので稽古、取組と何を見ても新鮮だった」(仙台市20代男性)、「本場所と違い力士との距離が近く、写真撮影とかに快く応じてくれる」(茨城・常総市40代男性)という声が聞かれた。

古河巡業に足を運んだ同市の関友吉さん(71)は、31年前の地元開催に足を運んで以来となる2回目の来訪だった。前回は土俵から少し遠くの席で観戦したが「今回は近い席が取れたから、力士たちが稽古でぶつかる音が伝わってくる。雰囲気が良いね」と声を弾ませた。家族で春日部巡業に訪れたさいたま市の斉藤由芽さん(24)は「力士たちのきれいな声で奏でる『相撲甚句』が大好き」と自分なりの楽しみ方を力説していた。

一方で改善点についてもさまざまな意見が寄せられ、交流に関する点では「写真撮影会の時間がもうちょっと多くして、参加する力士も増やしてほしい」(都内20代女性)、「大相撲にまだ興味を持ったばかりの初心者なので、力士の見分けがつかない。力士たちの個性や素顔を知りたいから、質問コーナーをもっと充実させて」(都内30代女性)など柔軟な対応を求める声が目立った。

また、子育て世代からは「キッズスペースや授乳室があれば、もっとくつろいで見られる」(埼玉・春日部市、東京・葛飾区のともに20代男性)、高齢者からは「他のスポーツイベントみたいに大型モニターを使って、もっと見やすくしてほしい」といった意見もあった。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

○…2会場の来場者にアンケートを行ったことで、相撲人気の底上げに巡業が果たす役割の大きさを感じた。力士との距離感が近い催しにファンからは「待ちに待った瞬間がついに来たよ」など喜ぶ声が寄せられ、「サインもらっちゃった~」「ツーショットで写真を撮ってくれた」と興奮気味に話す人もいた。今年4月に相撲担当となって初めての巡業取材を終え、早くも次の秋巡業が待ち遠しくなっている。コロナ前のように支度部屋に入れる日がいつ来るか分からないが、夏巡業と同じく興行を盛り上げる意味で積極的な取材を続けたい。

相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」(撮影・平山連)
相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」(撮影・平山連)