東洋太平洋スーパーフライ級1位の井上拓真(19=大橋)が、同級2位ヘラルドを3-0の判定で破り、新王者となった。初の12回の戦いも、鋭い踏み込みと強打を武器にプロ40戦目の相手を最後まで攻め抜いた。最終回にスリップ気味のダウンを奪われたが、有効打で上回った。兄で8戦目で世界2階級制覇を達成した尚弥(22)と同じ、デビュー5戦目での東洋王座獲得を果たし、戦績を5勝全勝(1KO)とした。

 初のタイトル戦でベルトを腰に巻かれると、井上は誇らしげに両拳を突き上げた。序盤からジャブとボディーで崩し、終盤には右の強打でKO寸前まで追い込んだ。兄に並ぶ5戦目での東洋王座奪取に成功すると「思った以上にきつい試合だった。ベルトに重みを感じるし、勝ち取った喜びは大きい」と余韻に浸った。

 デビュー戦で日本ランカー、2戦目では世界ランカーを撃破。険しい戦いを乗り越え、成長を続けてきた。それでも、今回の試合で課題も見えた。こだわっていたKOを逃すと、最終12回にはプロ初のダウンも奪われた。井上も「世界のチャンスが来たときに、1発で取れるように練習していきたい」とさらなる努力を誓った。大橋秀行会長は次戦は防衛戦になると明言。「実力は証明できたが課題も見えた。来年中には確実に世界をやらせる」と話した。

 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日、神奈川・座間市生まれ。兄尚弥の影響を受け、小学1年から本格的にボクシングを始める。アマ戦績は52勝(14RSC)5敗。13年12月に大橋ジムからプロデビュー。162センチの右ボクサーファイター。家族は両親と姉、兄。