5度目の防衛を目指したWBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司(31=帝拳)が9回1分31秒、TKO負けし、王座から陥落した。同級1位の指名挑戦者フランシスコ・バルガス(メキシコ)から4回に左ストレートでダウンを奪うも、9回に左フックでダウンを返されると、再開後に連打を浴びたところで試合を止められた。初の米国リングで本場のファンの心をつかむ試合を見せたが、約2年半保持したベルトを失った。三浦の戦績は29勝(22KO)3敗2分けとなった。

 紙一重の激闘だった。三浦は、初回にカウンターの右フックでぐらつくも、4回に得意の左ストレートでダウンを奪い、流れをつかんだ。8回終了時のジャッジの採点は2-0のリード。三浦の強打を浴び続けたバルガスの右目下は大きく腫れ上がり、レフェリーが「これ以上パンチをもらえばストップ」と相手の陣営に告げるほど優勢だった。

 だが、落とし穴はその直後に待っていた。捨て身の挑戦者の左アッパーを不用意に浴びると、連打からの左フックで体がねじれるように腰から崩れ落ちた。どうにか立ち上がりクリンチに逃れようとするも、最後は顔面に右ストレートを受けた瞬間にレフェリーに試合を止められた。まさかの逆転負けに「勝負事だから仕方ないが、一瞬の隙を突かれた。気持ちが前に出すぎた。勝ちたかった」と唇をかみしめた。

 世界的な大型興行でのセミファイナル。米ケーブル局大手「HBO」のPPV(ペイ・パー・ビュー)に日本人選手として初めて起用されるなど、米国デビュー戦への期待は高かった。結果で応えることは出来なかったが、持ち前の攻撃的なボクシングで本場のファンの心はつかんだ。4回のダウンシーンの後は、雰囲気が一変。三浦がパンチを当てる度に大きな歓声が上がり、リングから降りる時には、惜しげもない拍手が送られた。

 約4年9カ月ぶりの敗戦も、闘争心は消えていない。試合後の会見では「チャンスをいただけるなら、また王者になるために頑張りたい」と前を見据えた。悔しさを力に変え、三浦は再びはい上がる。【奥山将志】

 ◆三浦隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田県三種町生まれ。03年プロデビュー。09年、日本スーパーフェザー級王座獲得、4度防衛。11年、WBA同級王座挑戦も8回TKO負け。13年、WBC同級王座獲得。169センチ左ファイター。