ボクシングのＷＢＡ世界フライ級とＩＢＦ世界ミニマム級のダブル世界戦（３１日、エディオンアリーナ大阪）の調印式が３０日、大阪市内のホテルで行われ、異例の騒動があった。

　ＷＢＡ世界フライ級戦で王者井岡一翔（２６＝井岡）には黒グローブ、前王者の同級２位フアンカルロス・レベコ（３２＝アルゼンチン）には青グローブを配られた直後だった。レベコ陣営から「井岡のグローブをチェックしたい」と要望があり、さらに「黒の方が見栄えがいい。我々も黒グローブを使いたい」と要求してきた。ただ、両陣営に用意されたグローブは予備を含めて黒２つ、青２つだけ。井岡陣営は「もう１つの黒はグローブが破れた時の予備だから、使えない」と主張。レベコ陣営も引き下がらず、両陣営から怒号が飛び交う事態になった。結局、４０分近く激しい口論が続き、最後はレベコ陣営が青グローブを受け入れたが、公式記者会見はなくなり、前日計量も５分ほど遅れてしまった。

　意味不明の“クレーム”を受けた井岡の父一法会長は「こっちが青で、向こうも青でいいのではと言っても、それも嫌だと言う。グローブの色はチャンピオン側が決めること。最後はＷＢＡのスーパーバイザーが『（レベコ側が）おかしい』と言ってくれた」と、思わぬ騒動に顔をしかめた。激しい“前哨戦”にも王者井岡は「僕自身は何も問題ない。平常心で何も変わらないです」と、心が揺れることはなかった。