プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月26日付紙面を振り返ります。2007年の1面(東京版)は、K−1谷川貞治イベントプロデューサーがオリックスを自由契約になった中村紀洋内野手へラブコール、と報じています。

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 ノリ選手、あなたを育てたい、待ってます−。K−1は25日、「ジャパン戦士育成プロジェクト」の設立を発表した。日本人選手が低迷するヘビー級戦線で、活躍できる選手を育成するのが目的で、プロアマ問わず80キロ以上のスポーツ選手が募集対象になる。谷川貞治イベントプロデューサー(EP)は、オリックスを自由契約になった中村紀洋内野手(33)を引き合いに出し「ノリだったら強くなれる」とラブコール。競技の枠を超えて「ポスト武蔵」候補を待望した。

 我こそは、と思う方を募集します−。K−1が日本人ヘビー級選手の低迷打破のため、格闘家以外にも幅広く門戸を開く。この日、「ジャパン戦士育成プロジェクト」の立ち上げを発表し、80キロ以上のスポーツ選手に募集を掛けた。年齢制限はなく、格闘技経験も問わない。そして谷川EPが唯一、理想像として挙げたのが中村だった。「ノリ選手にも来てほしい」。事実上のラブコールだった。

 日本人ヘビー級選手の低迷が叫ばれて久しい。「ポスト武蔵」は、なかなか育たず昨年12月のGP決勝戦では、5年ぶりという日本人選手不在の危機的状況に陥った。興行的にも日本人の活躍は不可欠。苦悩する谷川EPの目に映ったのは180センチ、92キロの屈強な肉体を誇る中村だった。

 谷川EPは「本気で取り組んだら、絶対に強くなりますよ。応募してくれないかな。1年くらいで戦えると思います」と真顔で言った。代名詞のフルスイングと、強肩を生み出すパワーを何とかK−1で生かせないものか−。武闘派を思わせる風ぼう、一匹おおかみ的イメージもプラスに働くだろう。メダルを逃したシドニー五輪で号泣した姿、マイナー暮らしが続いても貫いた挑戦者魂…。谷川EPは「闘争心あふれる面構えは格闘家以上の迫力がある」と訴えた。

 過去、日本人ではボクシング、大相撲などのプロ格闘技以外からの転向例はない。だが同プロジェクトでは、運動能力の高い元プロ野球選手、元Jリーガーらの転向は大歓迎だ。志半ばでユニホームを脱いだ選手はK−1へ−。谷川EPは門戸開放のシンボル的な意味も込めて、中村にラブコールを送った。

 同プロジェクトは来月下旬にも応募者を集め、オーディションを行う。書類選考、体力テストを経て、10人ほどの「ポスト武蔵」候補を選ぶ。その後は、昨年引退したアーネスト・ホースト氏(オランダ)マイク・ベルナルド氏(南アフリカ)から約1年かけて英才教育が施される。バットを置き、またスパイクを脱いだ元プロ選手が、212センチの絶対王者シュルトをマットに沈め、韓国の大巨人・崔洪万を倒す−。実現性が低かろうとも谷川EPは、そんな日が来ることを夢見て待っている。

※記録と表記は当時のもの