36戦全勝(33KO)、17連続KO防衛中の3団体(WBA、WBC、IBF)統一世界ミドル級王者ゲンナディ・ゴロフキン(34=カザフスタン)と、33戦32勝(29KO)1敗のWBA同級正規王者ダニエル・ジェイコブス(30=米国)が3月18日(日本時間19日)、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで拳を交える。

 世界的な注目度が高いミドル級頂上決戦に、近い将来の対戦候補でもある村田諒太(31=帝拳)がひときわ熱い視線を送っている。遠からず彼らの間に割って入らなければならないロンドン五輪金メダリスト。3月19日午前10時から「エキサイトマッチ ゴロフキン&ロマゴン最強王者ダブル世界戦」を生中継するWOWOWでの特別解説を務めるにあたり、このほど、勝敗の予想を行った。

 -予想はゴロフキンの中盤KO勝ちですが、ゴロフキン対ジェイコブスについて、どんな位置づけの試合だと思いますか。

 村田 世界中の誰もが認めるミドル級の世界一を決める戦いです。ひとりのボクシングファンとしては楽しみですが、これから世界王座を狙うボクサーとしては複雑で、いろんな思いが混在しています。

 -ゴロフキンのストロング・ポイントは?

 村田 左ジャブの強さ、全体のパンチの強さ、それと自信を持っている点でしょう。多少は相手のパンチをもらったとしても自分のパンチが当たれば倒せるという自信があるうえ経験もある。

 -米国でスパーリングをしたことがありますね。

 村田 パンチはアマチュア、プロを通じて一番ありました。特に左ジャブとフックは硬さと重さが異質でしたね。グローブで殴られている感じではなく、硬くて重いものがドーンと飛んでくる感じなんです。

 -ジェイコブスのストロング・ポイントはどこでしょう?

 村田 スピード、そして右ストレートなど思い切りのいいパンチでしょう。止まって打つパンチではなく、(懐に)入って動いて打つパンチに強みがあります。一瞬のスピードではゴロフキンを上回るので、それをいかに生かして戦うかがカギだと思います。

 -ジェイコブスは骨肉腫を克服して戦線復帰を果たし、そのうえ世界王座も獲得した「奇跡の人」です。

 村田 誰もがリスペクトの気持ちは持っていると思いますが、それをボクシングにつないで考えるかといったら別で、いざ戦うとなったらそんなことはいっていられないじゃないですか。

 -ジェイコブスは耐久力に課題がありそうですね。

 村田 打たれ弱いと思います。だからゴロフキン有利とみられているのだと思います。

 -オッズは6対1と出ています。

 村田 けっこう離れましたね。この前のケル・ブルック戦(16年9月、ゴロフキンが5回TKO勝ち)で、けっこう隙をみせたと思うんですが、それでも評価を落としていないということなんですね。

 -どんな試合展開を予想しますか。

 村田 ゴロフキンがプレッシャーをかけ、ジェイコブスは足を使いながら一瞬の隙を狙ってパンチを出していくそんな展開でしょうか。おもしろい試合になると思います。ジェイコブスのスピードが落ちてくる中盤、4回以降からゴロフキンのジャブがコネクトされれば自然に距離が詰まり、5、6、7ラウンドぐらいでゴロフキンが仕留めると思います。

 -番狂わせが起こるとしたら?

 村田 最近、ゴロフキンはパンチをもらうことがあり、特にアッパー系のパンチをもらっています。一瞬のスピードで勝るジェイコブスが強いパンチを一発入れてペースをつかみ、そのあと足さばきでどう対応できるか。ジェイコブスとしては一発で仕留めることがベストですが、倒せない場合でも一発入れたあと出入りしてポイントを拾えるかどうか。そのあたりにかかっていると思います。

 -村田選手自身、主要4団体すべてで世界挑戦圏内にいます。近い将来、ゴロフキンと対戦する可能性もありますが、どう戦いますか。

 村田 ガードが堅くてプレッシャーが強く、パンチが強いという自分の良いところを生かして戦うだけです。ゴロフキンは打ったあと休む時間があるんです。そのときにこちらがどれだけ打てるか、どれだけ耐えられるか。第三者的に考えればゴロフキンの方が有利だと思いますが、他者より引けを取っていると思ったらその時点で勝負にならないという根本的な考えなので、「やったらいける」そう思っています。