ボクシングのWBA世界ミドル級タイトル戦は今日22日に決戦の時を迎える。挑戦者で同級1位村田諒太(31=帝拳)は21日、都内で前日計量に臨み、リミットの72・5キロで1回でパスした。5月の王座決定戦で不可解判定で敗れた王者アッサン・エンダム(フランス)との再戦。トランクスにはアマ時代を過ごした東洋大カラーの紺色をまとう。第1戦で得た自信を力に世界の頂に立つ。初防衛戦となるWBC世界フライ級王者比嘉大吾(白井・具志堅)、同ライトフライ級王者拳四朗(BMB)もクリアした。

 「I believe myself」。エンダムを追って来日したフランスメディアに質問を受けると、村田は滑らかな英語で返した。自分を信じている-。自らの拳の力に半信半疑の部分もあった第1戦。世界の一流と堂々と渡り合った試合を経て、最大の収穫はその自信だった。

 体重上限72・5キロちょうどの肉体を作りきり、その言動は泰然そのもの。エンダムと20秒向き合ったフェースオフでも気持ちの波は感じさせない。「どっかで気持ちは入る。流れに身を任せる。勝手にスイッチは入ってくれる」。気負いも緊張もない村田がいた。

 トランクスには紺色を配色した。5月は挑戦者らしく青をはいた。今回も基調は同じだが、濃い青に混じるのは大学生、職員とアマ時代を過ごした東洋大のテーマカラーで「最近、紺が多い。東洋大に関わることはうれしいですね」とニコリとする。

 自信の支え。それはアマでの成功体験に重なる。11年世界選手権。日本人は勝てないと言われたミドル級で銀メダルを獲得した。まさに半信半疑だった拳を信じられた瞬間だった。翌年、その確信は12年ロンドン五輪金メダルという結晶となった。「いまの感じは似ている」。幾度も的中打を放ってダウンも奪った第1戦で確信を得て、第2戦を迎える。再び世界一に駆け上がる状況はそろった。

 「前回からの上積みは?」

 よどみなく答えた。

 村田 ないですね。ただ、努力はしました。やることはやってきた。それをリングの上で出す。結果は神のみぞ知る。

 自負心に満ちた拳で、ベルトをつかむ。【阿部健吾】