4年ぶり3度目の優勝を狙う前IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(30)がまさかの黒星発進となった。

 「CHAOS」の後輩ジェイ・ホワイトとの同門対決で、金的などの掟破りの反則技連発に沈んだ。王者ではない立場では4年ぶりのG1出場。同じくベルトを巻いていなかった12、14年には優勝を果たしているが、今夏は波乱の幕開けを演出してしまった。

 冒頭から攻めたてられた。涼しい顔で場外攻撃などを仕掛けてくるホワイトに防戦。エプロンと鉄鎖に往復で投げられ続けて痛めつけられる。「一番楽しみなのはジェイとやること」と戦前話していたが、独特のリズムで淡々ときわどい攻撃を仕掛ける相手にペースを握れない。それでも、終盤に盛り返して、後輩に力の差を見せつけるはずだったが…。

 25分を超えたところで、ドロップキック連発、ツームストンパイルドライバー、そしてレインメーカー(短距離式ラリアット)と滑らかに大技を続け、片エビ固めに入った。さあ、3カウント、優勝へ白星発進のはずが…。レフェリーの姿がない。ホワイトがレインメーカーを受けた時に裏拳がレフェリーの後頭部をたたき、なんとマットに突っ伏していた。

 抜け目ないホワイトに背後から金的を食らい、さらに椅子攻撃、最後はブレードランナーの餌食になって3カウントを聞いた。会場には大ブーイングがむなしく響いた。「CHAOS」の後輩に「オカダは下降線を続けている」と見下される屈辱。そのまま無言で会場を去った。

 「不変宣言」で臨んでいた。6月9日の大阪城ホール大会でオメガに敗れ、IWGPヘビー級王座の13度目の防衛に失敗。その後はコメントを発さずに、新入場曲、新衣装を投入。変化の兆しが見えたが、13日の前日会見に赤髪で登場すると、「何か変わろうと思っていたんですけど、何も変わっていません。前のただ強くてカッコいいオカダ・カズチカと、何も変わることができませんでした」と言い、笑顔をテーマに今大会に入っていた。

 敗戦に笑みを見せる時間はなかった。果たして8月12日、優勝決定戦が行われる日本武道館で笑っている姿を見せられるか。