ゴールデンスターこと飯伏幸太(36)が8日、新日本プロレス後楽園ホール大会で2カ月ぶりに実戦復帰する。注目される内藤哲也とのニュージャパンカップ初戦への意気込み、専念すると決断した新日本での今後の野望などを聞いた。

「心身ともに万全。試合に飢えてます」。ギラギラした飯伏が新日本のリングに帰ってくる。1月4日の東京ドーム大会ではウィル・オスプレイとの激戦の末、敗退。脳振とうを起こして欠場していた。久しぶりに公の場に現れたのは2月11日の大阪大会。スーツ姿で登場し、リング上で「どこにも行きません」と宣言。相棒だったケニー・オメガが米国の新団体AEWへと移り、飯伏も移るのでは…とささやかれていただけに、その残留宣言で会場は大いに沸いた。

DDTと新日本のダブル所属だった飯伏は16年に「飯伏プロレス研究所」を設立。フリーの立場を守りながら、新日本で活動し続けてきたが、もう研究所は「終わりです」。新日マットに専念すると決めた。「2、3年前から棚橋さんに『覚悟』という言葉を言われてきましたが、何をもって覚悟か分からなかった。でも、やっとその覚悟の本当の意味が分かりました」。

年明けにオメガやKUSHIDAら人気選手が続々と退団。その中で飯伏は、新日本の勢いは止まるどころか加速すると信じている。「16年に中邑(真輔)さん、AJ(スタイルズ)らが大量離脱したときも変わらなかった。むしろプラスの流れになった。今回も同じようにプラスの流れにしたい」。目指すのは地上波テレビでの中継。「新日本プロレスの名前は世間に広まってきていますが、昔ゴールデンで放送されていたころと比べると、まだ劣る。自分の体で表現して、放送させるレベルまで人気を持っていく。その自信もありますね」と堂々と語った。

まず焦点を定めるのは、10日尼崎大会でのニュージャパンカップ初戦。いきなり同級生のライバル内藤哲也とぶつかる。過去のシングル対戦成績は3勝2敗。互角の戦いを繰り広げてきたが、飯伏は「いまは僕が劣っている」と話す。「年が重なるにつれ負けてきた。勝敗も、内容も。地位も、格も。そこを埋めていきたい。だからやりがいがある。自分のためにも内藤さんはどんどん上がり続けてほしいんですよ」。内藤戦では「なにかをやってみたい。そのチャンス」と、温めてきた新技を出す可能性もあると明かした。

ニュージャパンカップで優勝すれば、4月の米マディソンスクエアガーデンのメインでIWGPヘビー級王者ジェイ・ホワイトに挑戦できる。現段階でそれが新日本の至宝に届く近道だ。「一番発言力があるのがIWGP(ヘビー級)のベルト。それを取り、やばい発言をしたい。王者になってやりたいことがいろいろあります。新日本プロレスを、より爆発させたい」。覚悟と野望を胸に飯伏幸太の新たなステージが始まる。【取材・構成=高場泉穂】

◆飯伏幸太(いぶし・こうた)1982年(昭57)5月21日生まれ、鹿児島県姶良市出身。04年7月、DDTでデビュー。11年6月に新日本のIWGPジュニアヘビー級王座獲得。13年10月にDDTと新日本とのダブル所属契約を発表。15年3月のニュージャパン杯で初優勝。16年2月にDDT、新日本からの退団を発表し、同3月に飯伏プロレス研究所設立。181センチ、90キロ。得意技はフェニックス・スプラッシュ。