東京都江東区で2008年10月、プロレス団体所属の会社員由利大輔さん(当時25)が練習中に掛けられた技で頭を打ち死亡した事故で、警視庁東京湾岸署は27日、危険な技を掛けたなどとして過失致死の疑いで、団体の元代表でプロレスラーだった無職の男(31)ら3人を書類送検した。

 同署は「練習不足で素人レベルの選手が危険な技を掛けたのが原因と判断した」として、スポーツ練習中に起こった事故について異例の立件に踏み切った。

 ほかに書類送検されたのは、当時団体に所属し、一緒に技を掛けた会社員(36)と、練習を取り仕切っていた別の団体のスタッフだったプロレスラー(31)。

 東京湾岸署によると、由利さんは08年10月18日未明、江東区新木場の格闘技ホールのリングで、元代表に肩車された状態で、ロープ上から飛び降りた会社員から、腕を首に当てて倒される「ダブルインパクト」という大技を掛けられ、頭から落ちて首の骨を折り、同月24日に死亡した。

 技を掛けた2人の送検容疑は、技術が未熟なのにもかかわらず危険な技を掛け、由利さんを死亡させた疑い。練習の責任者だったレスラーは安全管理を怠った疑い。

 同署によると、3人は「危険だと認識していたが、安易に考えてしまった」などと容疑を認めている。団体に所属していたのは、技を掛けた2人と由利さんの計3人だけで、この技の練習は初めてだった。