<プロボクシング:日本ライトフライ級50キロ契約10回戦>◇16日◇東京・後楽園ホール

 高校生初のアマ7冠を達成した日本ライトフライ級6位の井上尚弥(20=大橋)が、日本同級1位の佐野友樹(31=松田)を10回TKOで破り、デビュー3連勝を飾った。

 1回に左フックで相手の右目尻をカットさせると、2回には左フックで最初のダウンを奪った。4回にも左フックからの連打で2度目のダウンを奪ったが、KOには至らず。その後は拳を痛めたのか右のパンチが極端に少なくなり、試合は最終ラウンドまでもつれた。最後は相手の出血がひどくなり、レフェリーが試合を止めた。井上はランキング1位選手を倒し、日本タイトルに挑戦できる可能性も浮上した。

 井上は3戦3勝(3KO)、佐野は24戦17勝(12KO)3敗4分けとなった。<入場>井上はワム!の「フリーダム」が響く中、やや緊張した表情で入場。花道での観客の声援にやや表情を緩めた。リングでは右手を軽く挙げて1周した。<1回>井上は左ジャブを確実に当てながら攻め込む。ワンツーや左アッパーを出し、そのスピードに観衆が沸く。左フックで相手は早くも右眉尻をカット。<2回>ゴング後10秒ほどで井上の左フックがクリーンヒット。早くも最初のダウンを奪った。その後も相手をコーナーに追い込んで攻めた。ガードを固められればボディーを狙うなど完全に井上ペース。ラウンド終盤は左フックの連打で追い込んだ。<3回>井上ペースでの試合が続く。積極的に前に出て2回にダウンを奪った左フックを浴びせる。だが、3連続でかわされる場面もあり、力みも感じさせた。<4回>井上が連打で相手をぐらつかせ、最後は右フックでひざをつかせた。その後もコーナーに追い詰めて攻めたが、粘る相手も必死でパンチをかわし、決定打は奪えなかった。<5回>井上は左ジャブを的確に当ててプレッシャーをかける。残り1分から左フックで相手をぐらつかせ、さらに左フックの連打、右ストレート、左ボディーもヒットさせた。井上の優勢は変わらず。<6回>井上が左ジャブで攻める展開は変わらず。ボディーも狙うなど変化はつけるが、右のパンチは極端に少ない。やや静かな展開に。<7回>井上は右の拳を痛めた模様。この回も攻めはほぼ左のパンチ。左アッパーも狙うが、ヒットせず。<8回>井上にも疲れが見え、左のパンチはスピード、威力とも落ちる。中盤からは右のパンチも出すが効果的なものにはならなかった。試合は膠着(こうちゃく)。<9回>井上はラウンド中盤に右アッパーから左フックとつなぎ、相手をよろめかせるがダウンは奪えない。試合は最終ラウンドへ。<10回>お互いにKO狙いで序盤から激しく打ち合う。井上は狙い澄ました左を当てていき、相手の右目の傷口は開いていく。出血がひどくなったところでレフェリーが割って入り、試合を止めた。井上が10回TKOでデビュー3連勝を飾った。日本ランク1位選手の意地に苦しんだが、試合後も傷がほとんどないきれいな顔で余裕も感じさせた。