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内藤劇的逆転KOでV3/ボクシング

10回、清水(右)に強烈な左フックを放つ内藤(撮影・中島郁夫)
10回、清水(右)に強烈な左フックを放つ内藤(撮影・中島郁夫)

<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇30日◇東京・代々木第1体育館◇観衆8900人

 WBC世界フライ級王者の内藤大助(33=宮田)が劇的な逆転KOで3度目の防衛を飾った。同級13位の清水智信(27=金子)に、8回までの公開採点では0-2でリードを奪われた。しかし10回、一発逆転の左フックでダウンを奪取。その後の連打で同回57秒KO勝ちした。試合後、リング上に乱入してきた同級3位の亀田興毅(21)に対戦を求められ、前向きに対応。年末にもビッグマッチ実現の可能性が出てきた。

 会場が揺れた。終盤まで劣勢だった内藤が、猛ラッシュを続ける。2度目のダウンをした清水は、もう立ち上がれない。その瞬間、大歓声が場内に渦巻く。8回までの公開採点では0-2で負けていた。がけっぷちからの逆転KO劇に、ファンは酔いしれた。

 試合直後のリング上で内藤は、「負けててびびったよ」と本音を漏らした。序盤から完全にペースを握られた。研究を尽くした相手のカウンターを浴びた。逆に、変則スタイルからのフックは何度も空を切る。4回を終えた公開採点は0-1。焦りも加わり、体は思うように動かず、差は広がっていた。

 最強王者ポンサクレックから勝利を奪った時と、まさに逆の展開だった。内藤有利の予想の中、がむしゃらに向かってくる相手の気迫にも負けていた。試合の2日前にはテレビドラマ「内藤大助物語」(TBS系列)が放送された。この日の試合前には本人役の俳優伊藤淳史、母親役の女優岸本加世子らにも激励された。忍び寄るプレッシャーに、知らず知らず守りに入っていた。

 本来の自分を取り戻したのは残り4回になってからだった。「まだラウンドはある。コツコツ頑張るしかない」。ライフワークはテレビドラマのテーマ同様、いじめの撲滅。「いじめられっ子にあきらめない気持ちを伝えたかった」。開き直った気持ちが、最初のダウンを奪った10回の左フックにつながる。「倒したパンチは覚えていない。狙うと当たらないからね」。まさに執念の一発だった。

 試合後のリングでは、亀田興毅から挑戦状をたたきつけられた。「『次やるな』と言ったので『やってくださいだろ』と注意した。本人は言い直しましたよ。無礼な態度はなかった」と興毅の行動そのものは否定しなかった。興毅には3年前の日本王者時代から「あんなの弱い」と見下された。昨年10月、反則騒動の起きた大毅戦でさらに因縁は深まった。

 「敵討ちでくればいい。兄弟斬(ぎ)り、亀田兄弟斬り。お客さんは面白いだろうね。(自分も)見たいカードだね」と前向きに話した。ドラマを現実で演じたような大逆転劇。次戦は10月にも地元北海道が有力だったが、興毅の挑戦表明で、年末にもビッグマッチが実現する夢が広がった。【田口潤】

 [2008年7月31日9時6分 紙面から]


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