WBC世界フライ級王者・内藤大助(34=宮田)が「ハンドボールパンチ」で王者の強さを見せつける。23日の同級13位山口真吾(渡嘉敷)との4度目の防衛戦に向けて22日、都内で計量と調印式に臨んだ。苦手とする前評判の高い試合で快勝するため、高校時代に打ち込んだハンドボールの動きを取り入れたパンチなど、持ち前の変則スタイルを全開。舌戦を繰り広げた山口陣営の渡嘉敷会長の予告を逆手にとって、ボディー攻撃でのKO防衛を狙う。

 自ら作り上げたボクシングを信じた。4度目の防衛戦の前日計量。内藤は決意を込めて言った。「自分の運動神経をフル活用したスタイル。自分らしさを出して、伸び伸び楽しく戦いたい」。バラエティーに富んだ持ち前の変則攻撃で勝負に出る覚悟を示した。

 英才教育とは無縁の内藤は19歳でボクシングを始めた。子供のころから運動神経は良かったため、そのセンスをいかして工夫と研究を重ねてきた。その1つが、北海道・豊浦高でハンドボール部に所属した経験を生かして編み出した「ハンドボールパンチ」だ。ステップを踏んで素早く相手の懐に入り込むと、ハンドボールのシュートを放つような動きで右ボディーを打つ。野木トレーナーも「キーパンチになる」と太鼓判を押しているパンチだ。

 3度目の防衛に成功した7月の清水戦では、ジャブからワンツー主体の正攻法の相手に対抗心を燃やし、序盤から自分のスタイルを見失った。8回までのポイントで0-2とリードを許すなど苦戦。KO勝利の結果も、反省点の多い試合となった。4度目の防衛戦のテーマは「勝って当然」と言われる中で「王者の強さ」を見せること。もう迷うことなく、変則攻撃を貫く。

 今回も戦前から山口の師匠の渡嘉敷会長に「ボディー攻撃で7回以内のKO」「引退して芸能界入り」と舌戦を仕掛けられた。人がいいだけに、今までなら混乱していたが、この日は「陽動作戦に引っかからないようにしないとね」とマイペースを貫いた。続けて「ファンが喜ぶような殴り合いをしたい」とニヤリ。「ハンドボールパンチ」のボディー攻撃でのKOに自信ありの表情だった。