<新日本:G1クライマックス>◇4日目◇10日◇横浜文化体育館◇観衆4900人

 Aブロックでは、棚橋弘至(33)が中西学(43)を破って勝ち点を5に伸ばし、首位タイに立った。8日の愛知大会で2度連続で失敗したハイフライフローを、今度こそ2連発で決めてフォール勝ち。今大会で初めて白星を先行させ、試合後は即席握手会まで行う興奮ぶりだった。

 今度は外さなかった。しっかり狙いを定め、棚橋がトップロープからハイフライフローを繰り出した。分厚い中西の胸板に、体ごと落下。相手に反撃の余力がないことを見抜くと、とどめのもう1発を決めた。「(中西の)怪物性、無限のスタミナを覚せいさせる前に締められた。それが今日の進歩だ」と胸を張った。

 反省を生かした。8日の愛知大会では、内藤を相手に、2度も大技を外していた。試合を決めにかかった場面でのミス。「あそこに持っていくまで、十分に痛めつけられなかった。ギリギリまで削らなくちゃいけなかった」。この日は同じ失敗を繰り返さなかった。中西の大☆中西ジャーマンを丸め込みで回避すると、原爆固め、平手連打でじっくり痛めつけた。完ぺきな試合展開だった。

 これで2勝1敗1分けの勝ち点5。内藤と並んでAブロックの首位に立ち、出遅れを取り戻した。納得の内容も手伝って、試合後も歓喜は収まらない。リングを囲んだファンに即席の握手会を開催。さらには2階席のファンにまでハイタッチを繰り返した。「愛してま~す」のコールも、今大会初めて飛び出した。「やっと勝ちが先行した。これでやっと先が見えてきた」。3年ぶりのG1制覇が、視界に入ってきた。【森本隆】