<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇大阪府立体育会館◇観衆5000人

 三度目の正直はならなかった。同級6位の久高寛之(25=仲里ATSUMI)が王者ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)に0-3判定負けを喫した。カウンターで一発狙いの作戦が完全に不発に終わった。3度目の世界挑戦も実らず、来年4月の結婚に花を添えられなかった。カサレスは3度目の防衛に成功。久高の通算戦績は19勝(8KO)9敗1分けとなった。

 完敗を告げる採点結果を久高は淡々と受け入れた。「現時点で僕はこんなもんかなと思う。1発当たっても続けて当てさせてくれなかった。カサレスはうまかった」。所属ジムの仲里義竜会長は「一撃必殺のカウンターを狙っていたが…」と唇をかんだ。構えを左右にスイッチする王者を、懐に誘い込んでカウンターを狙う作戦。4回には右、5回には左をドンピシャで当てながら、ひるんだ王者を追い切れなかった。中盤以降は手数が減るクセが顔を出し、老練な王者とのポイント争いに負けた。

 勝利で自身の門出を祝いたかった。来年4月30日には大阪・堺市内の病院で栄養士として働く岡崎あずささん(25)との挙式が控えている。この日もリングサイドで熱い視線を送っていた婚約者に、ベルトを届けられなかった。進退については「終わったばかりで考えられない」と言葉を濁した。仲里会長は「ベスト体重のフライ級でやらせたい」と現役続行させる意向を示した。【大池和幸】