WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃(35=帝拳)が世界のボクシングの聖地でスーパーファイトに臨む。10月1日(日本時間2日)、米ネバダ州ラスベガスのMGMグランド・ホテル&カジノで、元世界2階級制覇王者の同級2位ラファエル・マルケス(36=メキシコ)と7度目の防衛戦を行うことが26日、発表された。同興行は全米での生中継も計画中。数々のビッグマッチが開催されてきた会場でビッグネームを倒し、世界のボクシングファンに存在をアピールする姿勢を示した。

 西岡は心躍らせていた。元2階級制覇王者マルケスとのV7戦。会場は数々のビッグマッチが開催されるMGMグランド。舞台は整った。「MGMという世界最高峰でやれるのは本当にうれしい。世界で名の知れた強いボクサーとラスベガスのメーンで戦えるのでワクワクしている」と、表情を引き締めた。

 マルケスは世界的に有名な兄弟世界王者。兄ファン・マヌエルは現WBA・WBO統一王者で世界3階級制覇王者だ。史上初となる兄弟で2階級制覇を成し遂げた。パンチの破壊力は抜群でKO率も約78%を誇る。07~08年にかけ、イスラエル・バスケスとWBC世界スーパーバンタム級タイトル戦3連戦に臨み、壮絶な打ち合いを展開。WBCから長期休養勧告を出されるほど積極的に打ち合う。そのハードパンチャーぶりは米国で非常に人気が高い。西岡にとって危険な最強挑戦者となる。

 西岡

 やはりマルケスというビッグネームに勝つことで西岡の名前が世界のボクシングファンにさらに認知されると思う。キャリアの中で一番のビッグファイトだろうと思う。

 西岡-マルケス戦は所属の帝拳ジムと米大手プロモート会社トップランクとの共同興行となる。国内ではWOWOWが無料放送で生中継し、米国でも大手有料放送「ショータイム」での生中継が計画される。西岡にとっても日本人世界王者で初のラスベガスでの防衛戦の勝利と、内藤大助の34歳8カ月を抜く35歳2カ月の日本人最年長防衛記録の更新という期待もかかる。

 25日に35歳の誕生日を迎え、長女小姫ちゃん(5)から「お仕事頑張って」というバースデーカードを贈られた西岡。「だから頑張らないといけない」と愛娘の後押しを受け、さらに奮起していた。【藤中栄二】

 ◆MGMグランドでの主なスーパーファイト

 92年11月、IBF・WBA統一ヘビー級王者モーラーを元王者フォアマンが10回KOで倒し、45歳298日という当時の最高齢王座奪取をマークした。96年11月には宿命のライバル対決とされたタイソン-ホリフィールドのWBA世界ヘビー級戦が開催。この一戦の入場料収入は当時のボクシング史上最高額となる1415万700ドル(約15億5658万円)に。97年6月のタイソン-ホリフィールドの「世紀の再戦」ではタイソンがホリフィールドの耳をかみちぎる有名な“事件”も起きた。近年では07年5月、メイウェザー-デラホーヤのWBC世界スーパーウエルター級戦、08年12月にはパッキャオ-デラホーヤ戦が開催された。