<プロボクシング:ヘビー級10回戦>◇19日◇東京・後楽園ホール

 元K-1王者で東洋太平洋ヘビー級8位の藤本京太郎(26=角海老宝石)が日本人初のヘビー級世界ランキング入りを確実にした。WBC同級15位チャウンシー・ウェリバー(米国)と対戦。たるんだ肉体で動きも鈍い世界ランカーだったとはいえ、足を使い、的確に左右のボディーを決め、序盤から主導権を奪取。1人のジャッジが8点差をつける3-0の大差判定で勝利した。昨年大みそかにボクシングに転向してから9カ月で、ヘビー級世界ランカーとなりそうだ。

 緩みそうな会場の空気を締めた。世界ランカーのウェリバーの腹回りはたるみきっていた。頭から突っ込んで、ただパンチを振り回す。60戦以上のキャリアを誇る世界ランカーには見えなかったが、京太郎は集中力を切らさない。序盤から得意の足を使い、磨いてきたボディーパンチを的確に当てた。

 1人のジャッジが8ポイント差をつけた3-0の大差判定勝利。ヘビー級世界ランカーを破ったことは事実。それでも本人は「勝ったからといって満足していない。クリンチも多かったし、ボクシングは甘いものじゃない」と喜びより、まず反省点を口にした。

 昨年大みそかに格闘技からボクシングに転向した。わずか5戦目で世界ランカーとの試合を迎えた。相手の実力は未知数。いつも以上の意気込みはオーバーワークにつながる。先月上旬、40度の発熱とへんとうを腫らして入院。ロンドン五輪と高校野球を見て「やるしかない」と病院を脱走も再入院に追い込まれた。一時は試合中止の危機だったが「日本でヘビー級を盛り上げたい」との一心で、体調を回復させた。

 日本人初のヘビー級世界ランク入りは確実だが「これは通過点」と、世界のトップレベルが遠いとの自覚はある。軽量級が主流の日本では、100キロクラスのヘビー級の試合はあまり見ることができない。この日の相手の世界ランカーは実力的に物足りなかったとはいえ、元K-1王者で知名度もある京太郎は、日本ヘビー級を引っ張る役目がある。【田口潤】

 ◆藤本京太郎(ふじもと・きょうたろう)1986年(昭61)6月23日、大阪市生まれ。06年5月、キックボクシングで「狂太郎レンジャー」の名前でプロデビュー。07年にK-1トライアウトを受けて合格。08年1月「前田慶次郎」と改名。09年3月のヘビー級王者決定トーナメントを制覇。10年4月にはピーター・アーツにKO勝利。昨年大みそかにプロボクサー転向。戦績は5勝(3KO)。183センチ、102・4キロ。