<究極戦士たち(5)>

 UFCデビューの吉報は昨年12月末、米ハワイで受けた。徳留一樹(25=パラエストラ八王子)は、昨季までプロ野球・日本ハムに在籍した義兄八木智哉投手(現オリックス)一家の優勝旅行に同行していた時だった。「八木ちゃんに『子供の面倒をみてくれ』と言われて行ったら、国際電話があり『UFCが決まった』と。みんなバカンスなのに、八木ちゃんとトレーニング室で必死に練習しました」と苦笑した。

 今年1月も義兄と福岡に自主トレに出掛けるなど、本当の兄弟のようにかわいがってもらっている。その縁で元K-1の長島“自演乙”雄一郎とも出会い、長島が通うシルバーウルフジムでキックボクシングやフィジカルの練習を開始。徳留は「八木ちゃんには格闘家ならばやらないような専門的な体幹トレとかの練習を教わっています」とサポートを感謝。「UFCが決まっておめでとう、と言われるけれど勝ってから言われたい。テンションは上がっている」と気合を入れた。

 05年大みそかPRIDE祭り(さいたまスーパーアリーナ)のライト級GP決勝。桜井“マッハ”速人にKO勝ちした五味隆典のセコンドについた。当時、所属先で五味は先輩だった。

 徳留

 すごい熱気になった会場で、リングに来いよと言われた。上がったら大勢の観客の中でライトが照らされて…これはすげえと。そこまで格闘技をやるつもりはなかったけれど「ここ」で勝ちたいと思った。

 約7年後、徳留は「ここ」さいたまスーパーアリーナにUFCファイターとして立つ。3月3日の「UFC

 JAPAN

 2013」でヴァンダレイ・シウバの柔術コーチ、クリスチアーノ・マルセロ(35=ブラジル)と激突する。「3月4日がオレの誕生日。勝利でバースデーを祝う」。徳留は五味にみせてもらった夢を、自らの手でつかもうとしている。【藤中栄二】

 ◆徳留一樹(とくどめ・かずき)1987年(昭62)3月4日、東京・八王子市生まれ。13歳から柔道をはじめ、中学、高校も柔道部。柔道整復師の資格取得のため専門学校に進学しながら、木口道場に入門し、五味隆典のチーム「木口道場ラスカル」に入る。21歳でパラエストラ八王子に移籍。07年11月にZET、09年9月にCAGE

 FORCE参戦を経て10年4月、パンクラスに参戦。同年6月にはSRCにも参戦。11年のパンクラス・ライト級GPで準優勝。180センチ、70・3キロ。