【米ラスベガス11日(日本時間12日)=奥山将志】ボクシングのWBO世界バンタム級王者・亀田和毅(23)が「過去最高」のボディーで、憧れのリングに上がる。現地12日の同級1位・プンルアン・ソーシンユー(26=タイ)との2度目の防衛戦に向け、試合会場の「聖地」MGMグランド・ガーデンアリーナで前日計量に臨み、53・5キロでパス。世界に存在をアピールするため、万全の準備でゴングを待つ。

 憧れのリングを背中に感じながら、和毅は約3000人の観客の前で鍛え抜かれた肉体を披露した。「昔からテレビで見ていた場所。タイソン、デラホーヤが試合をした所に、今、俺はいる」。そのデラホーヤ、最年長王者記録を持つホプキンスも同席したステージに立つと、高まる興奮を抑えるのに必死だった。

 万全の準備が、明るい表情と血色の良い肌に表れた。これまでの世界戦2試合は約10キロに及ぶ減量に苦しんだ。王座を奪取した昨年8月の試合では、体調を崩し計量後に病院に直行。何度も階級を上げる意向を示してきたが、3月中旬から約1カ月半行ったマイアミ合宿で思わぬ収穫があった。

 元キューバ代表コーチのオスミリ・フェルナンデス氏に師事。練習中の脈の計測、重りの入ったグローブを日ごとに軽くしていく新たな練習とともに、減量法の指導も受けた。これまでより1カ月以上早い、試合の2カ月半前から体重を落とし、それを維持するスタイルに変更。63キロだった通常時の体重を58キロにキープすることで、最もきつい最後の1週間で落とす体重は3キロから1キロに減った。

 計量前日にも4回のマスボクシングを行うほどの順調な調整に「直前まで練習できるのは全然違う。体のキレ、スピードが前よりも上がっている。最高の体でいける」と口も滑らかだ。国内の騒動の影響もあり、負ければ今後の選択肢は大きく狭まる。「またこっち(米国)に呼ばれるように、結果を出すだけ」。強い覚悟を持ってリングに立つ。