WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(35=ワタナベ)が、「復活の右」で勝利をつかむ。今月31日の同級8位イスラエル・ペレス(35=アルゼンチン)との9度目の防衛戦に向けた17日、都内のジムで練習を公開。前戦から1年間試合間隔が空いたことで、悩まされてきた古傷の右拳の痛みが癒えた。10年9月のV2戦以来となる右でのKOも意識し、世界戦8試合が行われる年末の主役の座をもぎ取る覚悟だ。

 ミットを打つたびに響く「パーン」という破裂音が、内山の好調ぶりと驚異的なパンチ力を証明した。中でも圧倒的だったのが「原点」と話す右ストレート。1年ぶりの試合に向け「去年と比べ、右を思いっきり打ち込める。当たれば倒せるのではと思う」と晴れやかな表情で言い切った。

 約3年ぶりとなる右拳の「復活」だ。11年1月の三浦とのV3戦前の練習で負傷。拓大3年時に手術した古傷で、そのまま臨んだ試合で脱臼した。手術を受けるも、そこからが長い戦いの始まりだった。ほぼすべての勝利を演出してきた得意のパンチに力を入れ切れず「試合中に、今のが全力だったら終わっていたなと思うこともあった」と振り返る。右をおとりに使い、左を強化しながらどうにか防衛を続けてきた。

 だが、今年9月に決まりかけた試合が相手の都合で流れるなど、V8戦から試合間隔が空いたことで、痛みが消えた。渡辺均会長も「治りかけては痛めてを繰り返してきたが、今回は良い休養になった」と説明した。内山も「三浦戦の後では一番良い状態。右も使えると思うだけでスムーズに動けるし、ボクシングが楽になると思う。今回はガンガンいく」と力を込めた。

 年末30、31日は世界戦だけで8試合が予定される。現役最多のV9戦に挑む日本ボクシング界のエースは「しょぼい試合をしたら記事も小さくなる。圧倒的な強さで勝ちたい」と言い切った。主役の座を譲る気は毛頭ない。【奥山将志】