プロボクシング亀田3兄弟の所属事務所、亀田プロモーションが、長男興毅(22)次男大毅(20)が所属していた協栄ボクシングなどに、計約1億円の支払いなどを求める訴えを東京地裁に起こしていたことが15日、分かった。07年4~7月にかけ、両選手が受け取るはずだったファイトマネーなどの分配金が未払いのままという。この日、行われた第1回口頭弁論で、協栄側は争う姿勢を示したとみられる。

 訴状によると、亀田プロ側が未払いとしているのは、2人が07年4~7月に静岡、大阪、東京で出場した3試合分。協栄側との契約では、分配金計約9700万円が支払われるはずだったが、一部しか支払われておらず、協栄側に対する貸し付けも返済されていないとしている。そのため、亀田プロ側は今年に入ってから、「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)にも出演している北村晴男弁護士(53)に、提訴へ向けた準備を依頼。7月初旬に民事提訴に踏み切った。同弁護士はこの日、「分配金はファイトマネーと考えてもらって差し支えない。訴状で請求しているのは興毅選手の2試合と大毅選手の1試合の3試合。今後は未払い金を払ってもらえるよう話を進めていきたい」と説明した。

 両者の金銭問題は、亀田兄弟が協栄に在籍していた昨年初めから表面化していた。離脱騒動と前後するように、亀田家側は協栄側に待遇面での不満を訴え、過去のファイトマネーを含む「契約上の取り分」を主張していた。訴状では、07年10月に大毅が内藤大助(宮田)に敗れたWBC世界フライ級タイトルマッチについても、分配金の前提となる興行収支が明らかにされていないとして、協栄側に説明を求めているという。協栄側は争う姿勢を見せているが、北村弁護士は「(協栄側の)主張の具体的な中身がはっきりしていない。主張を見た上で反論したい」と話し、内藤の試合についても同様の訴えを起こす可能性を示した。

 亀田家は昨年8月、「亀田ジム」を設立して独立。両選手と三男和毅(ともき)の試合などを管轄する亀田プロは5日、東京・ディファ有明で初めて自主興行を開催し「独り立ち」していた。興毅と大毅が遺恨を残して協栄を離脱してから約1年。世間を騒がせた両陣営の因縁が、再び形になって表れた。