横綱白鵬(30=宮城野)が、またも土俵際の逆転技に屈した。右から張って左を差し、稀勢の里を一気に寄ったが、最後に落とし穴が待っていた。気がはやり過ぎたのか、足がついていかない。相手の突き落としに倒れ込み、右肩が先に落ちた。12日目に首投げで敗れた豪栄道戦に続く際どい勝負。2日前は、相手が勝ち名乗りを受ける間も立ち尽くしたが、この日はあごをコクリと引くと、あっさり土俵を下りた。

 痛恨の3敗目だ。史上初の2度目の7連覇へ王手をかけるはずが、千秋楽を残して照ノ富士に並ばれた。師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)は、4連勝中だった稀勢の里戦を前に「肩に力を入れず、リラックスして取れば負けることはないでしょう」と話していた。だが、もっとも負けたくない相手と向き合い、力みが生じたのかもしれない。支度部屋では3日続けて報道陣に背を向け、一切口を開かなかった。【木村有三】