期待のホープがヒヤリとさせた。大相撲の秋巡業2日目は9日、神奈川・厚木市で行われた。

 前日に続き寂しい稽古風景で終わったが、その中で尾車巡業部長(元大関琴風)が「これから(幕内に)上がってくるんだから、遠慮しないで行け!」と御嶽海(22=出羽海)、阿武咲(19=阿武松)、輝(21=高田川)の十両力士3人を指名。幕内力士の稽古に参加させた。

 その中の1人、御嶽海が横綱を前に膝から崩れ落ち、稽古を打ち切った。

 御嶽海は、まず平幕の誉富士(30=伊勢ケ浜)と9番の三番稽古を行った。その8番目の取組で浴びせ倒された際、右膝を折り曲げるように崩れた。大事を取って三番稽古は終了。次に待っていたのは、日馬富士(31=同)とのぶつかり稽古。横綱が直々に胸を出すという、十両力士には夢のような稽古だが、3回目にぶつかった時、再び転がり、起き上がれなかった。業を煮やしたのか、これ以上は無理と判断したのか、日馬富士も打ち切った。

 御嶽海には苦い思い出がある。初の巡業参加となった8月の夏巡業。大関陣との稽古で以前から抱える左股関節痛を再発させ、同14日の栃木・足利巡業を最後に夏巡業をリタイアした。今回もその二の舞か…と心配されたが稽古後は「左の股関節です。良くはなっていたので、久々に痛みが走りました」と説明。今後の巡業参加については「やるしかないので。今日(東京に)帰って病院に行って、治療と痛み止めをもらいます」と同行を口にした。

 長野県木曽郡上松町生まれで、14日には松本市で盛大なパーティーが開かれる。主役不在は何としても避けたいところ。新入幕が濃厚な九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)に向け、試練の日々が続く。