2つの夢が、大きく遠のいた。綱とりに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)は横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)との2敗対決に敗れて、優勝争いから後退した。

 立ち合いで左を深く差されて、生命線となる自身の左の差し手は殺された。上体が起き上がり、何とか打開しようと左を上手に切り替えた瞬間、一気に寄り倒された。土俵下で、しばらく立ち上がれない。支度部屋でも言葉を発することはできなかった。

 朝稽古では「集中してやること。いかに良い相撲を取れるか。力を出し切れるようにやっていきたい」と語っていたが、その力を出させてはもらえなかった。勝てば単独トップに立つ大きな一番で、またしても横綱にはね返された。