ぐるりと1回転、土俵中央で琴奨菊を振り回した横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)は、勝ち残りで結びを見守った。「両目で見ました。ちゃんと目を開けて見てましたよ」とおどけながらも、豪栄道の姿を目に焼き付けた。「俺がどうのこうのいうより、まだ3日間ありますから。1日1番に集中して頑張りたい」。白鵬不在の秋で壁になるべく、13日目の直接対決へ静かに闘志を燃やした。

 帰り際にはリオデジャネイロ五輪柔道男子73キロ級大野将平の金メダルを初めて首にかけ、人さし指で「1」を作った。「初めて。すごいエネルギーをもらった。気持ちいい。これでまだ、いけるな」。12日目終了時点で2差。逆転優勝には厳しい状況だが、1場所15日制が定着した49年夏以降で3例ある。連覇へ、まだ諦めない。