全勝で初優勝を飾った大関豪栄道(30)の師匠、境川親方(元小結両国)は、愛弟子の大躍進に涙を見せた。

 東京・足立区で行われたパレードを終え、オープンカーに乗った豪栄道の姿が目に入ると、眉間にしわを寄せて込み上げる熱いものをこらえた。抱き合い、念願の水を付け「おかげさんで何とか、かっこがつく形になりました」とあいさつした。

 九州場所担当部長として、2日目から福岡に出張。この日は午後4時ごろ帰京した。14日目の優勝の瞬間は1人で見届け「こっちが頭真っ白になった。大関の中で、存在感の薄さは本人が一番気にしていたと思う。今まで積み重ねてきた努力や、勝負師の根性が出た」とねぎらった。

 都内で行われた千秋楽パーティーには約350人が駆けつけ、初優勝を盛大に祝った。部屋の優勝力士第1号。すべてが初めてでドタバタとなり、弟子とゆっくり話す時間もない。かけてあげたい言葉を問われると「『ありがとう』は辞めるときのせりふ。ようやったと言ってあげたい」。おとこ気たっぷりの性格が、垣間見えた。