ただ1人、勝ちっ放しだった新横綱の稀勢の里(30=田子ノ浦)にまさかの悪夢が襲いかかった。

 横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)に寄り倒されて初黒星を喫した。さらに土俵下に転げ落ちた際、左肩から胸付近を押さえて起き上がれなかった。支度部屋では何度もうめき声を上げて、苦悶(くもん)の表情。左腕は動かせなかった。

 土俵下に落ちたときに左肩を打ちつけた。その前には、左から強引に振る場面もあった。どこで、どの箇所を痛めたのかは不明だが、支度部屋で応急的に診察した医師は「『動かない』『動かすと痛みがあって怖い』と言っていた。肩が外れている感じじゃないし、骨が折れている感じでもない。鎖骨が折れているというのではない」と話した。

 患部を三角巾で固定し、救急車で大阪市内の病院に運ばれた新横綱。搬送先の病院に駆けつけた師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は、負傷箇所について「テレビで見たようなところ」とし、脱臼かという問いかけにも「ちょっとまだ…」と言葉を濁した。横綱鶴竜戦が組まれた14日目の出場についても「明日、様子を見て」と言うだけだった。

 12連勝で突っ走っていた浪速の春に、まさかの事態が起こった。