東前頭14枚目の阿武咲(20=阿武松)が、千秋楽まで3番を残し早くも勝ち越しを決めた。新入幕会見で明かした「2桁は勝ちます」という“公約”にも残り2勝とし、新入幕三賞も見えてきた。

 対戦した同12枚目の徳勝龍(30=木瀬)とは「大好きな先輩。小さい頃から、お兄ちゃんのような存在だった」という親しい間柄。徳勝龍は、同じ近大相撲部で同学年の宝富士(30=伊勢ケ浜)が故郷の青森に帰省した時に同行。そこで少年時代の阿武咲に稽古をつけてくれた。

 いわば恩人の1人でもあるが、土俵に上がれば関係ない。「しっかり相手のことを見て、どこではたきが来るかとか考えていた」と冷静だった。徳勝龍のいなしにも反応。逆に再度の押し合いの中で、タイミングを見計らって引き落とした。

 給金直しまでの道のりを「自分を信じるだけで、私生活から乱れないで稽古場から(本場所のつもりで)取っていたのが良かった」と振り返り、NHKのインタビュールームでは「おかげさまで(勝ち越して)感謝の気持ちでいっぱいです」と支えてくれた人たちに感謝の気持ちを示していた。