横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)は、思わず反省の弁を述べた。負けたわけではない。左膝痛から再出場した西前頭2枚目の碧山(31=春日野)を上手出し投げで退けた。

 ただ、表情がさえない。その理由は…。「まともにそんきょもできていなかったから、優しく出してやろうかなとか、いろいろ考えてしまった。そうしたら、前に出られなくなっちゃう。反省だな」。碧山の痛々しい姿に、勝負師としての心を貫けなかったことを反省した。

 それは日馬富士の優しさでもあるのだが、勝ち負けが人生を左右しかねない相撲では、自身の首を絞めかねない。事実、碧山を呼び込みかけた。「勝負事なのに、相手のことを考えちゃってね。勝負に優しさはいらない。分かっているんだけど、つい…」。

 何はともあれ、3敗は守った。