西前頭3枚目栃ノ心(30=春日野)が初優勝場所を白星で締めた。西前頭5枚目遠藤を押し出し、14勝1敗。この日は故郷ジョージアの駐日全権特命大使が駆け付け“国民栄誉賞”に当たる「プレジデント・オーダー・オブ・エクセレンツ」授与の可能性に言及した。7度目の三役返り咲きとなる春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)から大関への挑戦が始まる。

 歓喜の初優勝から一夜明け、栃ノ心が千秋楽でも国技館を沸かせた。人気の遠藤に頭をつけられてもひるまない。強引に振り回し、土俵外に押し出した。「勝って終わりたかった。変な相撲は取れない」。優勝者の誇り。土俵上インタビューでは「日本人の皆さん、グルジアの皆さん、本当に胸いっぱいです。応援ありがとうございました」と語り、大歓声を浴びた。

 V決定の前日は約8000キロ離れた故郷も燃えた。父ザザさんは、緊張で朝からワインを飲んでフラフラだったが、多くの国民も熱狂した。この日、祝福に訪れた在日ジョージア大使館のレバン・ツィンツァザ駐日全権特命大使は「栃ノ心はジョージア全国民の誇り。ヒーローです」と興奮気味に語り、何らかの賞の贈呈を国に提案したことを明かした。栃ノ心は昨年、十両臥牙丸とともに名誉親善大使に任命されたが、同国には日本の国民栄誉賞に該当する「プレジデント・オーダー・オブ・エクセレンツ」がある。「そうなるのが私の願い。可能性はあると思います」。2月20日前後には、都内の同大使館に日本政府関係者らを招き、祝勝パーティーを開く予定だという。

 相撲ファン、ジョージア国民約400万人の期待を受け、春場所へ。同大使は「私は2年前に彼が結婚した時から、大関、横綱になると分かっています」と自信満々。7度目の三役返り咲きで、次の目標はやはり大関だ。栃ノ心は大関を目指す意気込みを問われると「がんばりまーす」と言い、ニタッと笑った。【加藤裕一】