魁聖が鶴竜に負けて優勝争いから後退した。「気合が入りすぎて足が滑った」と、立ち合いで低くぶつかるまでは良かったが、もう1歩が出なかった。これで横綱戦30連敗となり、歴代1位となる不名誉な記録更新で「横綱に勝てない何かがある」と下を向いた。      ◇       ◇

 これも番付の差といえるだろう。結びの一番。大きな体をぶつけていく、いつもの魁聖ではなかった。鶴竜に対しまわしを取られまいと、やや萎縮した立ち合いになってしまった。12日目に2敗目を喫したことで変に、優勝への意識が出てしまったのかもしれない。ただ、その魁聖を責めるつもりはない。低い姿勢で攻め込もうという、前向きな姿勢は見て取れた。攻めるまでには至らなかったが、ここまでの出来すぎともいえる結果を、偶然から必然に変えるためにも「これも自分の力」と自覚して今後に生かしてほしい。2ケタ重ねた白星を無にしないためにもだ。勝った鶴竜は当然、14日目に決めるつもりでいくだろう。豪栄道は12日目に負けた栃ノ心よりくみしやすい。ただ、敗れて高安と千秋楽1差対決になると状況は一転する。今日、決めたいところだ。(元大関朝潮・高砂浦五郎=日刊スポーツ評論家)