前日12日に故郷のジョージアから再来日したばかりの新大関栃ノ心(30=春日野)が13日、休む間もなく稽古を再開した。

 稽古土俵に上がるのは、夏場所千秋楽以来17日ぶりで、もちろん大関昇進後は初めて。長旅に加え、2週間以上のブランクもあり、若い衆に約15分間、胸を出しただけの稽古だったが、さすがにお疲れの様子。「(体が)つらいよ…つらい」と開口一番、口にした。8日間の故郷滞在中は「自分の時間は1日もなくて1日も休めなかった」という。いつもは朝稽古後、心地よい汗を流し「気持ちいいね」が口癖だが、この日は、ジョージアの実家がワイン農家であることになぞらえて「気持ち悪い。ワインが(汗で)出てきた」とジョークを発する口調も苦しそうだった。

 夏場所千秋楽から一夜明け会見、伝達式、パーティー、そして帰国中も大統領との面会など公式行事に追われた。それはそれで「うれしかった」と言い、大関の重責も「ここまで感じてなかったことを感じた。(故郷では自分を)知らない人はいないし、どこへ行っても『大関、大関!』ってすごかった。けっこう、大変だなあ」と、ジワジワと実感しているようだ。また故郷では、生後7カ月になる第1子の長女アナスタシアちゃんとも待望の対面を果たし「オレに似ていたけど(それ以上に自分の)お父さんに似ている。普通の7カ月の女の子としては(標準身長より)9センチ高いみたい。体重は10キロぐらい」と目を細めた。

 気になるのは、夏場所で痛めた右手首の負傷。帰国前の検査で骨に異常はないことは分かったが、この日の稽古も「手首が痛いからぶつかりも(本格的には)当たれない。何とか早く治したい」という。新大関として臨む名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)の第1目標は「とりあえず2ケタ」と大関の勝ち越しといわれる10勝到達が目標。早めにクリアすれば、2度目の優勝も視野に入れたいところだ。