3場所連続優勝を狙う横綱鶴竜(32=井筒)が、先場所唯一、敗れている小結松鳳山を圧倒し、好発進した。立ち合いは、186センチの自身よりも8センチ低い相手に下から当たり、懐に潜り込ませなかった。慌てて前に出てきた相手を、次はいなした時点で勝負あり。松鳳山を難なく突き出した。「自分のタイミングで立てたので、あとは流れで攻められた。先場所は立ち遅れて、下がって引いて負けていた」。反省を生かした快勝に、笑顔を見せた。節目の横綱通算200勝目でもあった。

 先場所は連覇と全勝優勝という2つの目標を同時に達成できるチャンスだった。だが全勝優勝は松鳳山に止められた。雪辱の思いから今場所前に二所ノ関一門の連合稽古に出向き、松鳳山と5番取って全勝。苦手意識の芽をつんだ。この日は「稽古の効果が出た。いなしたところは稽古したから(相手の動きが)頭に入っている」と、対策と冷静な対応に胸を張った。

 1958年の年6場所制以降、3連覇は大鵬、北の湖、千代の富士、曙、貴乃花、朝青龍、白鵬の7人しか達成していない。いずれも大横綱。その一員に名を連ねるカギは「自分に勝つこと」と話す。好きなサッカー・ワールドカップ観戦は、朝稽古前のダイジェスト放送にとどめて相撲に集中。連覇を止めるつもりはない。【高田文太】