両膝のケガや内臓疾患のため、西序二段48枚目まで番付を落とした大関経験者の照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、5場所ぶりの復帰場所で連勝を飾った。

やはり幕内経験者で、ケガから陥落し今場所土俵復帰した西序二段50枚目の天風(尾車)と対戦。“重量級”の対戦で当たり合い、左四つがっぷりの体勢。右を抱えた照ノ富士が、天風の出足を利用し小手投げで破った。

投げられた反動で、土俵下まで落ちた天風を心配そうに見やり、土俵に上がる際には手を差し伸べようとした。同じ幕内経験者、ケガから全休が続き再起をかける場所…。相手の気持ちは痛いほど分かった。さらに相手が、入門時の「恩人」であったことも、特別な思いにさせた。15歳でモンゴルから初来日した際、尾車親方(元大関琴風)に声をかけられ、尾車部屋に1週間の体験入門。その際に「一緒にゲームをしたり、相撲部屋ってこうゆうもんだよ、と教えてくれた友だち。そんな思い出を当たる(対戦する)たびに思い出していました」という。過去に幕下時代に1度、ともに幕内から陥落した十両で2度の計3度対戦(照ノ富士の2勝1敗)。最後の対戦から5場所後の再戦も、特別な気持ちで臨んだ。

「あっちも思いがあったのかな。もちろん一緒に(幕内に)戻ることを願ってますよ」。ただ感傷にばかり浸っていられない。「全く(相撲勘は)戻ってない。当たりもフワッとしてたし(稽古で)相撲も取れてないから不安はありますよ」と、手探りの状況は続く。それでも大阪入り後も連日、トレーニングジムに通い、取り戻せない相撲勘に頼らず体を鍛える。気持ちがなかなか盛り上がらず、悶々としている状況から何とか脱しようと前日、筋トレしている様子をインスタグラムにアップしたという。「アップしたから見てね」と、ちゃっかり報道陣にアピールする余裕も? 少しは出てきた。残り5番。不安を取り除く土俵が続く。