かど番の栃ノ心(31=春日野)が貴景勝との“入れ替え戦”に敗れ、大関陥落が決まった。立ち合いで当たり負け、体を起こされた。下からの突き押しに何とか抵抗しようとしたが、最後は棒立ちで土俵を割った。「いやもう…何もできなかった。負けた方が弱いから負けた。勝った方が強いから勝った」。支度部屋ではぼうぜんとした顔で、声を絞り出した。

昨年秋場所に続く2度目のかど番の今場所、初心に戻るべく、濃紺の締め込みを、初優勝した昨年初場所で使ったねずみ色のものに戻した。ただ「勝たないと…」と思い、焦る心は変えられない。大関昇進場所の昨年名古屋場所で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を痛めてから、続いたケガの連鎖。先場所直前の右太もも肉離れは治った。今場所前にはスクワットで重さ240キロを挙げた。ただ「相撲と使う筋肉はちょっと違うんだよ」と戻った筋力は、土俵で生かすまで体になじんでいなかった。

関脇で臨む来場所に10勝すれば、再び大関に復帰できる。「休みます。しっかり休みます」。大関昇進後の5場所は2桁白星もなく、途中休場2度。右四つでまわしを引いたら誰にも負けない怪力相撲を取り戻すため、まずは心と体を整理する。