日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は9日、報道陣の電話取材に応じ、力士1人に新型コロナウイルス感染の疑いがあることを発表した。

当該力士は幕下以下で、前日8日の午後に新型コロナウイルス感染の簡易検査で陽性と判断されたものの、この日に検査を受けた病院から「実際は陰性だった」と報告を受けたという。再度この日に本検査を受け、10日に陽性か陰性か結果が分かる見通し。当該力士は入院中という。

芝田山広報部長によると、当該力士は4日から2日連続で発熱の症状を起こし、1度熱は下がったものの、再度高熱を起こしたという。息苦しさやせき、血痰(けったん)の症状もあるとのこと。所属している部屋は現在、稽古を中止にしている。

大阪で3月8日から同22日まで行われた春場所は、史上初の無観客として開催に踏み切った。力士らは1日2回の検温、公共交通機関を使用せずにタクシーでの移動、不要不急の外出を自粛するなど、徹底した体調管理を行った。協会員から1人でも感染者が出た場合は即中止という中、PCR検査を受けて陰性だった平幕の千代丸を含めて複数人の力士に発熱があったが、感染者を出すことなく15日間を完走した。

しかし、その後も国内で感染者が増加する状況などを鑑みて、協会は3日の臨時理事会で5月の夏場所と7月の名古屋場所の2週間延期を決めた。八角理事長(元横綱北勝海)は当時、今後も日程などの変更がある可能性は十分にあると明言。状況を見守りながら協会執行部で協議していく姿勢を見せていた。