大関正代(28=時津風)が、11月場所(11月8日初日・両国国技館)に向け、週明けの12日から本格的に始動する。熊本に帰郷中の新大関は9日、熊本県庁を訪問。蒲島郁夫知事、くまモンに迎えられた。

蒲島知事は「私が大ファンだった栃光関以来、(熊本出身者で)58年ぶりの大関昇進おめでとうございます。熊本は地震、水害、コロナと3つの苦難に直面しています。正代関の正面から向かう相撲に県民は勇気づけられています。県民の大きな光、希望になった」。その言葉に正代は「県民に少しでも元気を届けることができてうれしく思います」と応じた。

新型コロナウイルスの影響があり、極秘での御礼まわりを望んでいた大関だが、さすがに地元の熊本では、そうはいかなかった。「大変です。疲れましたよ」ともらしつつ、「これまでも何回も帰ってきたけど、こんなに注目されることはなかった。地元の応援は力になります」と言った。

「恩返し」行脚を終えて10日に東京の部屋へ戻る。出稽古も解禁となるが「予定はまったくたっていない」と正代。秋場所を全休し、進退がかかる両横綱の動向が注目される。立ち合い、胸から当たる正代は横綱から常に稽古相手として指名される。「横綱はどうなんですかね。分からない」と話すが、連続優勝を狙う11月場所へ力を試す思いは強い。

「新大関としての存在感を示して、期待に応えられるよう精進していきます」。浮かれ気分は完全に消した。さらに上、横綱を目指す戦いへ、正代は故郷の熊本でたっぷりエネルギーを蓄えた。【実藤健一】