大相撲の押尾川親方(41=元関脇豪風)が東京・墨田区内に新たに相撲部屋を興すことが22日、分かった。

同親方は19年初場所中に現役引退し、尾車部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっている。来年4月に師匠の尾車親方(元大関琴風)が日本相撲協会の定年となる65歳を迎えるため、東京・江東区の尾車部屋とは別地に部屋を構えることになった。

電話取材に応じた押尾川親方は「師匠の来年4月の誕生日と定年をお祝いしてからなので、独立という形になる」と話した。新しい部屋には、尾車部屋所属の力士が転籍する見通し。名跡の交換は今後の話し合いになるため、「尾車部屋」「押尾川部屋」のどちらになるのかは未定という。

新たな部屋は東京スカイツリーにほど近く、来春に完成予定だ。押尾川親方は「稽古場は厳しく、稽古が終わって土俵を離れたらチームワークのある部屋にしたい」と抱負を口にした。力士への指導については「今の時代はきつい言葉を言ってやらせる時代ではない。自分も師匠になるにあたって、指導をもっと勉強していかないといけません。言われてやるのではなく、自主性は最大の武器になります。稽古場で力士がそのように取り組めるようにしたい」と話した。

部屋は6階建ての予定。1~3階が相撲部屋で、4~6階はワンルームマンションや学生向けのシェアハウスなどにすることを検討中だという。「近くに、情報経営イノベーション専門職大学と千葉大学(墨田サテライトキャンパス)ができた。同年代の人たちと交流を持ってもらいたいと思っています」と地域の人との交流も視野に入れた。

また、自身の経験を生かして、部屋にはあえてトレーニングルームを作らず、近くのジムを積極的に活用していく。「ジムはメンテナンスがしっかりしており、最新の器具もある。自転車ですぐのところにいろんなジムがある。そういう細かいところも考えて、場所を選びました。稽古場には、ダンベルなど最低限のものは置きます」。現役時代、トレーニング法にもこだわって戦い抜いてきた押尾川親方らしく、1年後に向けて構想を練っている。