日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を行い、7戦全勝した欧勝馬(25=鳴戸)の新十両昇進を決めた。師匠の元大関琴欧洲の鳴戸親方(39)が部屋をおこしてから5年がたち、初となる関取誕生となった。

欧勝馬は「師匠の番付までいきたい」と、大関を目指し稽古に励む覚悟を見せた。モンゴル出身の欧勝馬は、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏の紹介で高校2年の4月に千葉・日体大柏高へレスリング留学。高3のインターハイではレスリング男子120キロ級で優勝を果たすほどの実力がありながら、来日前から抱いていた相撲への情熱がやまず。日体大では相撲部に入部し、4年時には学生横綱になった。

21年九州場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んで4勝3敗、今年の初場所で5勝2敗と2場所連続で勝ち越した。しかし、次の春場所は3勝4敗で負け越した。「自分のできていないことを見つけて、場所後に見直した」と立ち合いなどを改善し、東幕下8枚目で臨んだ今月の夏場所で7戦全勝優勝を果たした。4場所での新十両昇進を決めたことに「自分の中では4場所は長いなと思いました。2場所で上がりたいと思っていた」と率直な感想を述べた。

十両で迎える名古屋場所で対戦したい力士に炎鵬(27=宮城野)の名を挙げた。「体が小さくてもデカい人に勝っている」と注目を寄せた。高校時代一緒に来日した小結豊昇龍(23=立浪)にも対抗心を燃やし「相撲を取れば、負けたくない。追いつけるように頑張る」と意気込みを見せた。

念願の関取誕生に鳴戸親方は「いろんな大変なことがありましたけど、初の関取は素直にうれしい」と目を細めた。愛弟子は日体大卒業後、ビザ取得を待つために鳴戸部屋で研修を重ねた。そんな日々を振り返りながら「研修に1年かかった。相撲が取れない中でも、ひたすらトレーニングしていた」と回想した。十両昇進したことでの楽しみは「私以外が部屋で白まわしを着けてくれる」ことを挙げ、ここからさらに上を目指して稽古に精進してほしいと願った。「若い子の手本になって、もっと下の子が付いていくような存在になってほしい。(来場所は)白星2桁を目指して頑張って欲しいですね」と期待を込めた。